音響的驚愕反射(ASR)振幅は、騒音性難聴や加齢性難聴によって増強または抑制される。しかし、耳毒性薬剤によって外毛細胞(OHC)や内毛細胞(IHC)が破壊されるとASRがどう変化するかについてはほとんど分かっていない。ニーマン・ピック病C1型の治療に用いられるコレステロール低下剤である2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPβCD)の高用量は、まずOHCを破壊し、6-8週間後にIHCを破壊する。成体ラットに、多様な有毛細胞病変と難聴を引き起こすように設計されたHPβCDの投与量を与えた。HPβCDが蝸牛最下部のOHCとIHCを破壊し、最小限の高周波難聴を引き起こしたとき、ASR振幅は4kHz、8kHz、16kHzで増強された。ASRの増強は、OHCのみが欠損した治療後最初の数週間に起こり、治療後6-8週目にはASRにほとんど変化は見られなかった。HPβCDが蝸牛の基底部半分のほとんどのOHCと多くのIHCを破壊した場合、高周波閾値は約50dB増加し、ASR振幅は4、8、16kHzで約50%減少した。ASR振幅の減少は、OHCが変性する治療後の最初の数週間に生じた。ASRは、蝸牛の基底部3分の2のOHCのほとんどが欠損し、ほとんどの周波数で40〜50dBの難聴が存在するようになると、ほとんど消失した。これらの結果は、HPβCDの高用量投与は一般にOHCの退化に伴ってASR振幅の低下をもたらすが、有毛細胞の欠損が蝸牛の極底部に限定されている場合にはASR振幅が増大することを示すものである。
Celia Zhang, Dalian Ding, Wei Sun, Bo Hua Hu, Senthilvelan Manohar, Richard Salvi (2022)
Time- and frequency-dependent changes in acoustic startle reflex amplitude following cyclodextrin-induced outer and inner cell loss, Hearing Research, 415, 108441, https://doi.org/10.1016/j.heares.2022.108441.
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