分子ドッキングと第一原理計算を組み合わせ、薬理効果が期待されるシクロデキストリン(CD:α-CD、β-CD、γ-CD)ファミリーと、薬物送達の効率化に向けた多剤耐性P-gpタンパク質の主要相互作用を初めて研究した。[1]
神経疾患やがん治療において、P-gpタンパク質を介した多剤耐性現象は、治療がうまくいかない根本的な原因となっている。
これらの理論的な結果は、ナノメディシン応用のための効率的なドラッグデリバリーのための薬理学的な関連性を持つ新しいナノ治療薬の評価のための新しい地平を切り開くものである。P-gp 残基はコンフォメーション的に有利であった。構造上の違いはあるものの、すべてのシクロデキストリンはP-gp結合部位(膜貫通ドメイン-TMD)による非常に近いギブス自由結合エネルギー値(または親和性)を示した。得られたCDのP-gpへのドッキング機構は、基本的に骨格と側鎖のハイブリッド疎水性相互作用に基づいており、さらにCDリガンドのOHモチーフとアクセプターおよびドナーの特性のハイブリッド静電/側鎖相互作用が、血液脳関門(あるいは癌細胞)からのCDリガンドの押し出しを調節するP-gpのTMD間残留物ネットワークに、理論的にはアロステリック局所摂動を誘発し得ることが明らかにされた。最後に、これらの理論的な結果は、効率的なドラッグデリバリーや精密なナノメディシンのための薬理学的な関連性を持つ新しいナノ治療薬の評価のための新しい地平を切り開くものである。
[1] González-Durruthy M, Concu R, Osmari Vendrame LF, Ortiz Martins M, Zanela I, M Ruso J, D S Cordeiro MN. Computational Modeling on Binding Interactions of Cyclodextrins with the Human Multidrug Resistance P-glycoprotein Toward Efficient Drug-Delivery System Applications. Curr Top Med Chem. 2022 Mar 3. doi: 10.2174/1568026622666220303115102. Epub ahead of print. PMID: 35240960.
画像:beyonddatascience.com
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