2020年12月4日
有機汚染物質で汚染された土壌の浄化は世界的に急務となっている。様々な技術が開発されているが、その多くは欠点(複雑さ、高コスト、環境リスクなど)を抱えている。バイオレメディエーション(生物を利用して汚染された場所を修復する方法)は、費用対効果が高く、より環境に優しい技術と考えられているが、土壌中の有機汚染物質のバイオアベイラビリティーが低いことが主な制限事項である。シクロデキストリンは、有機溶剤や合成界面活性剤に代わる「環境に優しい」方法として、土壌中の有機物のバイオアベイラビリティーを向上させることが提案されている。シクロデキストリンは疎水性汚染物質と包接複合体を形成し、その水への溶解性を高め、土壌中でのバイオレメディエーションを向上させることができる。このレビューでは、この目的のためのシクロデキストリンの使用の概要を説明し、将来の研究のためにこの技術の長所と短所と展望を強調している。より一般的に使用されているシクロデキストリン、特にヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)とランダムメチル化-β-シクロデキストリン(RAMEB)の効果を分析し、処理された一般的な汚染物質(ほぼ80%が工業用化学物質で残りは農薬)と使用されたバイオレメディエーション戦略(微生物および/またはファイトレメディエーション)の一部を紹介している。また、このレビューでは、フィールドスケールでの適用に向けて克服しなければならないこの技術の知識のギャップと限界についても批判的な見解を提供している。
シクロデキストリンによる土壌のバイオレメディエーションに関するレビューは、150以上の文献に基づいており、技術の分類、それぞれにおけるシクロデキストリンの役割、長所と短所の両方を考慮した上で、いくつかの例を挙げて、明確な概要を示している。これはLoftsson教授の誕生日を記念して、Loftsson教授に敬意を表したものである。
E.Morillo, F.Madrid, A.Lara-Moreno, J.Villaverde (2020) Soil bioremediation by cyclodextrins. A review.
International Journal of Pharmaceutics 591, 119943. https://doi.org/10.1016/j.ijpharm.2020.119943
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