肝細胞癌(HCC)は、アポトーシスを逃れて多剤耐性を付与する分子変化を生じる高度に転移性の原発性肝癌である。HCCの治療には、選択的に細胞毒性を高め、薬剤耐性を最小限に抑えた標的治療薬が不可欠である。本研究では、自己組織化ポリカチオン性両親媒性β-シクロデキストリン(βCDC6)ナノ粒子製剤を作製し、HCC細胞株HepG2に対するその有効性を、抗悪性腫瘍剤を封入せずに、生化学的、遺伝子発現、プロテオミクス的アプローチを用いて、細胞毒性、アポトーシス能、化学感受性、ミトコンドリアバランスの観点から評価した。ブランクPC βCDC6は、3次元多細胞HepG2スフェロイド腫瘍に対して抗増殖効果を示した。これらのナノ粒子は、カスパーゼ3/7活性、遺伝子発現、フローサイトメトリー研究により、アポトーシスを誘発することが証明された。また、ナノ粒子の投与により、p-糖タンパク質の機能を抑制し、HepG2細胞の化学感受性を回復させることができた。Q-TOF LC/MSを用いたプロテオミクス研究により、ブランクPCを細胞に投与した後に異常にコードされた73個のタンパク質が明らかになった。また、メタボローム解析により、特定の生物学的経路でのシフトがさらに確認された。このように、肝細胞癌を標的としたβCDC6 PCナノ粒子は、アポトーシスを誘導し、細胞増殖率を低下させ、多剤耐性を抑制することが確認され、肝細胞癌患者への最終的な治療薬投与に有用や担体であることが確認された。
Ayse Ercan, Mustafa Çelebier, Selin Oncul, Gamze Varan, Engin Kocak, Juan M. Benito, Erem Bilensoy,
Polycationic cyclodextrin nanoparticles induce apoptosis and affect antitumoral activity in HepG2 cell line: An evaluation at the molecular level, International Journal of Pharmaceutics, 598, 2021, 120379,
https://doi.org/10.1016/j.ijpharm.2021.120379.
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