β-シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘導体を、抗菌薬であるモキシフロキサシンの存在下で架橋すると、水溶性の高分子ナノ粒子(直径50~150nm)が形成され、薬剤を高効率(最大85%)で封入することができる。本研究では、ヘキサメチレンジイソシアネートを用いて高度に架橋した複合体の場合、モキシフロキサシン分子のかなりの部分が、SBECDの内部キャビティに吸収されるのではなく、ポリマーのネットワークに取り込まれる(すなわち、成長する3次元構造にカプセル化される)ことが示された。このことは、モキシフロキサシンの放出動態プロファイルの劇的な変化を伴う:pHに応じて、30〜100%の薬剤が1週間以内にポリマーネットワークから放出される。一方、合成済みのSBECDポリマーマトリックスにモキシフロキサシンを吸収させた場合には、通常、数時間以内に50%が放出される。Escherichia coliを用いたin vitro試験では、高度に架橋されたナノ粒子中のモキシフロキサシンは、少なくとも7日間、50%以上の抗菌活性を維持できることが示された。ナノ粒子が細菌の細胞壁に付着する能力は、少量の薬剤で高い活性を示すことに寄与していると考えられ、このアプローチが新たな医薬品製剤の開発に役立つ可能性があることを強調している。
Anna A. Skuredina, Anastasia S. Tychinina, Irina M. Le-Deygen, Sergey A. Golyshev, Natalya G. Belogurova, Elena V. Kudryashova (2021) The formation of quasi-regular polymeric network of cross-linked sulfobutyl ether derivative of β-cyclodextrin synthesized with moxifloxacin as a template. Reactive and Functional Polymers, 159, 104811, https://doi.org/10.1016/j.reactfunctpolym.2021.104811.
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