2021年11月24日
Knut M. Wittkowski(ASDERA LLC、米国)による「Use of cyclodextrins in diseases and disorders involving phospholipid dysregulation」と題する特許出願(WO 2019/067145およびWO 2019/067269)が、最近EPOによって公開された。本発明は、α-シクロデキストリン(aCD)と脂肪酸を含む組成物を用いて、循環からリン脂質(PL)を隔離する方法を特徴とする。現在のシクロデキストリン(CD)医薬品は、β-CDをベースとしており、コレステロールに起因する耳毒性のリスクがあり、一晩かけて静脈注射で投与する必要があります。本発明者が再解析した遺伝子データによると、β- CDの作用機序として、コレステロールではなくリン脂質(PL)の減少が示唆されており、したがって、コレステロールに適合して永久的な難聴を引き起こすには小さすぎるaCDの使用が必要となる。実施した臨床試験で示されたように、aCDは、カプリン酸(C10)との包接体として製剤化された場合、腸から吸収されるため、経口投与が可能である。血液中に吸収された後、aCDはリン脂質(PL)を封じ込め、PLとともに尿中に排泄される。本発明者は、PLの濃度を下げることで、全身の炎症だけでなく、エンドサイトーシス(細胞が基質を取り込むこと)も断食で見られるレベルまで低下すると推測している。この相乗効果により、(1)腫瘍の成長と転移、(2)マクロファージ(動脈硬化)や肝細胞(糖尿病)におけるLDLの蓄積、(3)神経変性疾患やリソソーム蓄積性疾患におけるリソソームのオートファジー(プラークやもつれを除去する細胞のハウスキーピング)への干渉、(4)ウイルスがその複製のためにエンドサイトーシスを「ハイジャック」する能力、などを遅らせることが可能である。
WHOのデータによると、がんによる死亡者数は年間1,000万人、認知症患者数は世界で5,500万人、糖尿病患者数は5億人とされている。世界の50歳以上の人口は今後30年間で約2倍になると言われており、加齢関連疾患の有病率は増加している[1]。加齢関連疾患の予防と治療のために、より保存的で効果的な介入が早急に必要とされている。
[1] https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail
画像出典:ウィキペディア
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