本研究では,β-シクロデキストリンの生体内動態を把握するため,医薬品添加物であるβ-シクロデキストリンと原薬である臭化水素酸デキストロメトルファンを同時に定量分析するLC-MS/MSメソッドを開発した。本法は,ラットにおけるβ-シクロデキストリンの経口投与時の薬物動態,組織分布,排泄および代謝の研究に有効に使用された。その結果,β-シクロデキストリンは36時間以内にラット血漿からほぼ完全に除去され,投与後は脾臓,肝臓,腎臓などの血流速度の速い臓器に速やかに高濃度のβ-シクロデキストリンが分布することが明らかとなった。また,β-シクロデキストリンの尿および糞への排泄量は,投与量よりも少なかった。これは、β-シクロデキストリンがマルトデキストリンに代謝され、さらに代謝、吸収され、最終的にCO2とH2Oの形で排出されたと推測される。この結果から、β-シクロデキストリンは体内への蓄積量が比較的少なく、安全性が高いことが証明された。
Kunqian Mu, Kaiwen Jiang, Yue Wang, Zihan Zhao, Song Cang, Kaishun Bi, Qing Li and Ran Liu: The Biological Fate of Pharmaceutical Excipient β-Cyclodextrin: Pharmacokinetics, Tissue Distribution, Excretion, and Metabolism of β-Cyclodextrin in Rats
Molecules 2022, 27(3), 1138; https://doi.org/10.3390/molecules27031138
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