スペインとデンマークの科学者からなる研究チームは、アルカロイド神経毒であるベラトリジン(VTD)と異なるシクロデキストリンとの包接化合物の形成が、VTDの毒性に大きく影響することを証明することに成功した。
ベラトリジンはユリ科の植物、特にVeratrum属とSchoenocaulon属(Schoenocaulon officinaleの種子とVeratrum albumの根茎から分離できる)に存在するステロイド系アルカロイドである。研究対象は,ネイティブなβ-CDとγ-CD,およびアニオン性のβ-CD誘導体であるSBECDである。CD:VTD相互作用の平衡定数は,β-CD,γ-CDおよびSBECDでそれぞれ1500 M-1,7200 M-1および8200 M-1と推定され,γ-CDとアニオン性のSBECDが最も安定なホストであることがわかった。In vitroの研究では、3種類のCDはVTDの毒性に対して解毒剤のような効果を示し、CDの種類、CDとVTDの濃度によって異なる程度にNeuro-2a細胞の生存率を保護することが示された。CD非添加の場合、1mMおよび0.25mMのVTD添加により、約100%の細胞死(細胞生存率0%)を引き起こした。1 mM VTDでは、γ-CDおよびSBECDのCD濃度の増加とともに細胞生存率が上昇し、約100%の細胞生存率に達し、VTDの毒性からNeuro-2a細胞を保護した。 1H-NMR および 1H-1H ROESY 実験により、VTD が各 CD のキャビティに取り込まれていることが確認され、ドッキングおよび分子動力学シミュレーションにより CD 内での分子の最も安定な配向が明らかにされた。
Uribe, L.A.; Leonardo, S.; Nielsen, T.T.; Steinmann, C.; Campàs, M.; Fragoso, A. Supramolecular Complexes of Plant Neurotoxin Veratridine with Cyclodextrins and Their Antidote-like Effect on Neuro-2a Cell Viability. Pharmaceutics 2022, 14, 598. https://doi.org/10.3390/pharmaceutics14030598
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