2021年11月16日
レムデシビルは、最も有望な抗重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)治療薬の1つである。しかし,臨床効果が限られているため,その治療効果については議論の余地がある。これは,レムデシビルの肺への蓄積および活性化が不十分であることに起因すると考えられる。そこで我々は、既存のレムデシビルシクロデキストリン終結化合物(Rdv-cyc)注射剤のin vivo挙動を改善するために、肺への送達のためのリポソームエアロゾルとして再構成可能な凍結乾燥したレムデシビルリポソーム(Rdv-lips)を開発した。リポソーム化することで、レムデシビルの溶解性が向上し、生体適合性も改善された。試験管内でのリポソームエアロゾルの特性評価では、Rdv-lipは空気力学的直径の質量中央値が4.118μm、微粒子率(5μm未満)が50%以上であり、良好な肺送達特性を有していた。Rdv-cyc静注群と比較して、Rdv-lips吸入群では、レムデシビル活性代謝物であるヌクレオチド三リン酸(NTP)濃度が約100倍に増加し、肺へのNTPの蓄積も良好であった。また、Rdv-lips(吸入)の方が、細胞への取り込みが良好なため、レムデシビルからNTPへの移行が早いことも確認できた。他の製剤と比較して、Rdv-lipsの優位性は、炎症を誘発する可能性がほとんどないというin vivo安全性試験の結果によってさらに証明された。結論として、Rdv-lipsによる肺送達は、COVID-19治療においてレムデシビルのin vivoでの挙動を改善し、より優れた治療効果を発揮する強力な製剤となるであろう。
Li J, Zhang K, Wu D, Ren L, Chu X, Qin C, Han X, Hang T, Xu Y, Yang L, Yin L. Liposomal remdesivir inhalation solution for targeted lung delivery as a novel therapeutic approach for COVID-19. Asian J Pharm Sci. 2021 Oct 21. doi: 10.1016/j.ajps.2021.09.002.
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