2021年8月19日
肺胞上皮II型(AT2)細胞は、肺サーファクタントをラメラ小体(LB)を介して分泌している。LBの異常は、線維化などの肺疾患と関連している。しかし、AT2細胞の機能が解明されていないため、肺活量異常のハイコンテントスクリーニング(HCS)には限界がある。本研究[1]では,サーファクタントタンパク質を分泌するLB様オルガネラを有するLB細胞を開発した。この細胞は,親のA549細胞よりもAT2細胞に類似していた。LB細胞は、アミオダロン(AMD)誘発のLB拡大を再現し、AMDにさらされた患者のAT2細胞と同様であった。AMDによるLBの異常を回復させるために、承認された薬剤のHCSが行われ、2-hydroxypropyl-β-cyclodextrin(HPβCD)が治療薬の候補として同定された。トランスクリプトーム解析の結果、HPβCDは脂質のホメオスタシスを調節することが明らかになった。また、HPβCDは、AMDによるLB異常を、ヒト人工多能性幹細胞由来のAT2細胞で抑制した。これらの結果は、LB細胞がHCSに有用であることを示し、HPβCDがAMDによる間質性肺炎の治療薬の候補であることを示唆している。
[1] Shuhei Kanagaki, Takahiro Suezawa, Keita Moriguchi, Kazuhisa Nakao, Masayasu Toyomoto, Yuki Yamamoto, Koji Murakami, Masatoshi Hagiwara, and Shimpei Gotoh (2021) Hydroxypropyl Cyclodextrin Improves Amiodarone-induced Aberrant Lipid Homeostasis of Alveolar Cells. American Journal of Respiratory Cell and Molecular Biology 64,
写真出典:nursingcenter.com
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