架橋密度は、薬物送達を含む様々な目的で使用されるシクロデキストリン系ナノスポンジ(CD-NS)の物理化学的特性に影響を与える。これまで、架橋剤の種類や含有量がNSの性能に与える影響は研究されてきたが、架橋密度の詳細な研究はこれまで行われていなかった。
本研究では,β-シクロデキストリン(β-CD)をベースとした9種類のエステル架橋型NSを開発した。架橋剤として用いたピロメリット酸二無水物(PMDA)をCD1モルに対して2,3,4,5,6,7,8,9,10モルの化学量論的割合で合成し、膨潤性とレオロジー特性の観点から評価した。その結果、フローリー-レナー理論を利用した膨潤実験とレオロジーから、架橋剤の含有量に依存した挙動を強く示すことがわかった。また、架橋密度の研究から、合成反応の効率性を明らかにすることができた。以上の結果から、架橋剤の量を変化させることで、NSsマトリックスの架橋構造を効果的に制御できることが明らかになった。
Hoti, G.; Caldera, F.; Cecone, C.; Rubin Pedrazzo, A.; Anceschi, A.; Appleton, S.L.; Khazaei Monfared, Y.; Trotta, F (2021) Effect of the Cross-Linking Density on the Swelling and Rheological Behavior of Ester-Bridged β-Cyclodextrin Nanosponges. Materials 14, 478. https://doi.org/10.3390/ma14030478
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