チオール化したβ-シクロデキストリン(β-CD)は,眼粘膜への粘接着性や透過性を高める可能性がある。チオール化β-CDは,β-CD骨格の一級水酸基をすべてハロゲンで置換した後,チオール基で置換して合成した。チオール化されたβ-CDは5360±412μmol/gのチオール基を示した。
このオリゴマーは,0.5%(m/v)の濃度で3時間培養しても赤血球に対する溶血作用を示さず,72時間以内に炎症を起こすこともなく,角膜刺激作用も最小限に抑えられていた。また,チオール化したオリゴマー(0.5% m/v)は,4時間以内に粘液の粘度を最大6.2倍に高め,粘膜付着により眼内滞留時間を26倍に延長した。さらに、0.5%(m/v)のチオール化β-CDは、結膜、強膜、角膜において、フルオレセインナトリウムの透過性をそれぞれ9.6倍、7.1倍、5.3倍に向上させた。これらの結果から,チオール化β-CDは,眼局所へのドラッグデリバリーの補助剤として有望であると考えられる。
MH Asim, M Ijaz, A Mahmood, P Knoll, A Jalil, S Arshad, A Bernkop-Schnürch (2021) Thiolated cyclodextrins: Mucoadhesive and permeation enhancing excipients for ocular drug delivery- International Journal of Pharmaceutics 2021, 120451,
https://doi.org/10.1016/j.ijpharm.2021.120451.
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