PVAハイドロゲルをトリヒドロキシメラミンとエピクロルヒドリンを介して架橋し、重金属イオンを除去するために吸着能の強いβ-シクロデキストリンを添加した。その結果、トリヒドロキシメラミンを8%添加することで、ハイドロゲルの圧縮強度が約20%向上することがわかった。また、ラングミュア等温モデルを用いた解析では、このヒドロゲルのPb(II)及びNi(II)に対する吸着能はそれぞれ505.9mg/g及び286.7mg/gに達し、水中の低濃度重金属イオンの除去効率は99%以上であることがわかった。
このハイドロゲルは以下のようにして合成した。PVAを90℃の脱イオン水に撹拌溶解し、90g/LのPVA溶液を得た。次いで、脱イオン水5mLにβ-シクロデキストリン2g、アクリル酸2mL、アクリルアミド2gを加え、攪拌して化合物を溶解させた。得られた溶液をPVA溶液20mLに添加した。メチルビスアクリルアミドと過酸化二硫酸カリウムを加え、混合物を十分に均一に撹拌した。混合液を保護するために窒素を導入し、60℃で2時間後にハイドロゲルを得た。最後に、DMSOを溶媒として20mLのDMSOにECHを4mL溶解し、2gのNaOHを加えた。その後、この混合溶液に浸漬し、60℃で2時間保持してヒドロゲルを得た。
XPSによる相互作用試験の結果、-COOH、-NH2と重金属イオンとの間には強い相互作用が存在していることがわかった。これらのイオン間の結合イオン交換が支配的な役割を果たし、静電吸着と水素結合が二次的な役割を果たしていることがわかった。アミノ基の吸着モードは主に配位吸着であり、これが低pH値下での高い吸着能を説明することもできる。シクロデキストリンにも役割があり、β-シクロデキストリンはハイドロゲルの最大吸着量をより顕著に増加させ、シクロデキストリンを含まないハイドロゲルと比較して、それぞれ21.3%(Pb(Ⅱ))、27.3%(Ni(Ⅱ))の改善が見られた。
Wang, Z., Li, T.-T., Peng, H.-K., (…), Lou, C.-W., Lin, J.-H. (2021) Low-cost hydrogel adsorbent enhanced by trihydroxy melamine and β-cyclodextrin for the removal of Pb(II) and Ni(II) in water. Journal of Hazardous Materials 411,125029. https://doi.org/10.1016/j.jhazmat.2020.125029
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