生物の巨視的な集合体は、分子認識を利用したスマート材料の開発につながると考えられてきた。最近では、分子認識部位を有するミリメートルスケールのハイドロゲル片を用いて、分子認識に基づく巨視的な自己集合体が実現されている。分子認識に基づく巨視的な自己組織化の研究の中で、私たちは、集合体の形状がホストとゲストのペアに依存する可能性があることに気づいた。そこで本研究では,ホスト-ゲスト間の相互作用によって形成される集合体の巨視的な形状を調べた。我々は,架橋ポリ(アクリル酸ナトリウム)微粒子,すなわち高吸水性ポリマー(SAP)微粒子を,β-シクロデキストリン(βCD)およびアダマンチル(Ad)残基で修飾した(それぞれβCD(x)-SAP,Ad(y)-SAP微粒子,xおよびyはβCDおよびAd残基のmol%含有量を示す)。次に、βCDとAd残基の複合化によるβCD(x)-SAPおよびAd(y)-SAPマイクロパーティクルの自己組織化挙動を調べた。βCD(x)-SAP微粒子中のβCD含有量は、x=22.3から26.7の間に集合体形成の閾値があった。一方、集合体の形状はAd含量yに依存しており、yが大きいほど、より細長い集合体が形成された。これは、yが大きいと、初期に形成された小さなクラスターが1つの接触点で衝突してもくっつき、細長い集合体が形成されるのに対し、yが小さいと、小さなクラスターが複数の接触点で衝突してもくっつかず、やや円形の集合体が形成されるためと考えられる。これらのことから、yを変化させることで、微粒子から形成される集合体の形状を制御できることがわかった。
Itami, T., Hashidzume, A., Kamon, Y. et al. The macroscopic shape of assemblies formed from microparticles based on host–guest interaction dependent on the guest content. Sci Rep 11, 6320 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-85816-z
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