現在、レムデシビルは、再構成・点滴用の凍結乾燥粉末と、希釈・点滴用の濃縮液のみが販売されていいる。現在の剤形は、外来診療を除く入院患者のみに限定されている。したがって、重症患者以外の患者へのアクセス性を向上させるためには、投与経路の異なるレムデシビルの代替剤形が必要である。
吸入用レムデシビル乾燥粉末は,賦形剤(例えば,Captisol®,マンニトール,ラクトース,ロイシン)を80/20(w/w)の比率で使用した薄膜凍結法(TFF)を用いて開発され,肺への送達に最適なエアロゾル性能を示した。ハムスターを用いた薬物動態試験は[1]の論文で報告されている。SARS-CoV-2の小動物モデルであるハムスターを用いた単回投与24時間薬物動態試験では,TFFレムデシビルを肺に投与することで,血漿中のレムデシビルとレムデシビルの親ヌクレオシドアナログコアであるGS-441524のEC50(ヒト上皮細胞における)が20時間以上にわたって報告されている値よりも高い値になることが示された。乾燥粉末気化後のGS-4412524の半減期は約7時間であり、投与レジメンは1日2回の投与となることが示唆された。レムデシビル-カプチゾール®(80/20 w/w)製剤は、レムデシビルとGS-4412524の肺での吸収が速く、より高い吸収率を示したが、レムデシビル・ロイシン(80/20 w/w)製剤は、GS-441524のCmaxが高く、Tmaxが短く、AUCが低いことから、SAR-CoV-2に対して高い有効濃度を達成するためには、より低い総薬剤曝露量が必要であることが示唆された。結論として,吸入用レムデシビル乾燥粉末は,COVID-19疾患の治療のための有望な代替剤形であると考えられる。
参照: https://cyclodextrinnews.com/2020/10/23/development-of-remdesivir-as-a-dry-powder-for-inhalationby-thin-film-freezing/
[1] Sawittree Sahakijpijarn, Chaeho Moon, Zachary N. Warnken, Esther Y. Maier, Jennie E. DeVore,
Dale J. Christensen, John J. Koleng and Robert O. Williams III (2020) In Vivo Pharmacokinetic Study of Remdesivir Dry Powder for Inhalation in Hamsters. https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2020.12.22.424071v1.full.pdf
doi: https://doi.org/10.1101/2020.12.22.424071;
コメント