薬剤や添加剤としてのCDへの関心にもかかわらず、CDやCD誘導体の物理化学的特性、例えば吸湿性、屈折率(RI)、密度などは定義されていないか不明であり、吸入製剤に影響を与えるエアロゾルの基礎的な科学を理解する必要がある。エアロゾルの吸湿性応答を特定し定量化することは、製剤を改良し、肺内への薬物の沈着パターンを予測したり、嗅覚系を介して取り込まれたりするモデルに情報を提供するための鍵となる。
エアロゾル製剤の物理化学的特性と気道の湿度環境における薬効との関係を十分に理解していないことが、吸入療法を最適化する上での重要な障壁となっていることが明らかである。最近の研究では、吸入中のRHおよび温度の急激な変化に反応する液滴の老化がエアロゾル特性に大きく影響することが知られている。
ここで発表された測定では、エアロゾルに関連する濃度を推測するために、バルク溶液中の溶質の質量分率(MFS)を変化させて、水性2-HPBCDのRIと密度を測定した。
吸入時には、半径5μm以上のエアロゾルは口や喉に沈着しやすく、5μm未満の粒子は肺に移動し、1μm未満の粒子は主に呼気されると考えられている。光学ピンセットで測定したエアロゾルの液滴は、半径3〜5μmの範囲である。
光学ピンセットによる測定では、アモルファス転移と超粘性エアロゾルの形成が確認されている。非晶質シクロデキストリン分子の多孔質な性質と相まって、水の移動が遅いことから、エアロゾル中の水の取り込み速度を明らかにできるであろう。
C. P. F. Day, A. Miloserdov, K. Wildish-Jones, E. Pearson and A. E. Carruthers: Quantifying the hygroscopic properties of cyclodextrin containing aerosol for drug delivery to the lungs. Phys. Chem. Chem. Phys.,
2020, 22, 11327. https://doi.org/10.1039/d0cp01385d
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