胆汁塩タウロケノデオキシコール酸とイオン性スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンとの結合には、11種類の緩衝剤の効果とイオン強度の効果があることを検討した。その結果、イオン強度と競合結合の両方が安定性定数に影響を与えることがわかった。スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン複合体の安定性定数は、イオン強度が0から0.15Mに増加するにつれて34,400M-1から114,000M-1に増加した。イオン強度を一定に保ったまま、安定性定数は溶液中の緩衝液に依存し、クエン酸やコハク酸が安定性定数を低下させた。緩衝材による安定性定数の低下は、競合的なメカニズムと関連していた。その結果、緩衝剤間のイオン強度のばらつきを考慮した場合、3つの緩衝材グループが存在することが示された。すべてのカルボン酸系緩衝剤はイオン強度の変化による効果に比べてスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン複合体の安定性定数を減少させたが、他の緩衝剤はイオン強度の変化による安定性定数の変化のみに影響を与えた。緩衝剤の種類とイオン強度の両方がイオン性シクロデキストリン錯体の安定性に影響を与えていることから、安定性定数を使用したり、比較したり、報告したりする際には、これらの影響に注意することが重要である。
L. Samuelsen, R. Holm, C. Schönbeck (2021) Specific Buffers affect the Stability of a charged Cyclodextrin Complex via Competitive Binding and Ionic Strength. Journal of Pharmaceutical Sciences, in press, https://doi.org/10.1016/j.xphs.2021.02.012.
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