大腸がんの悪性化には、炎症や腫瘍関連マクロファージ(TAM)が関与しているが、大腸がんに対する有効な治療法は限られている。そこで、我々は、マンノース修飾γ-シクロデキストリン(M-γ-CD)とレゴラフェニブ(RG)との自己組織化による生体適合性の高い非共有結合型のチャネル型ナノ粒子(CNP)を開発した。M-γ-CDは、キャリアーとしての役割に加え、ターゲティングデバイスとしても機能し、腫瘍微小環境の調節にも関与している。RG@M-γ-CD CNPは、マクロファージを標的とすることで、炎症を抑制し、TAMの活性化を抑制する。また、キナーゼの抑制を増強することで、RGの抗腫瘍効果を向上させる。In vivoでの応用では、チャネル型製剤がRGの薬物動態と生体内分布を最適化することが示された。大腸炎関連癌およびCT26マウスモデルにおいて、RG@M-γ-CDは、腫瘍細胞の増殖を抑制し、新血管を病変させ、TMEを再構築する、標的を絞った安全で効果的な抗腫瘍ナノメディシンであることが証明された。これらの発見は、RG@M-γ-CD CNPがCRC治療のための潜在的な戦略であることを示している。
Bai, H., Wang, J., Phan, C.U. et al. (2021) Cyclodextrin-based host-guest complexes loaded with regorafenib for colorectal cancer treatment. Nat Commun 12, 759. https://doi.org/10.1038/s41467-021-21071-0
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