オルガノセラピューティクス社は、ルクセンブルグ大学と共同で、パーキンソン病に対するHPBCD治療の効果について、in vitroおよびin vivoでの興味深い結果を発表した[1]。
パーキンソン病(PD)の病因は、環境的原因、危険因子、特定の遺伝子変異などが寄与しているにもかかわらず、部分的にしか解明されていない。パーキンソン病の発症には、ミトコンドリアの恒常性維持、小胞輸送、オートファジーに関与するPTEN(phosphatase and tensin homolog)誘導型のPINK1(putative kinase 1)遺伝子の二重変異が必要である。
PD患者由来の細胞は、対照細胞に比べてエネルギープロファイルに違いがあり、増殖、アポトーシス、マイトファジーのバランスが崩れ、チロシン水酸化酵素陽性(TH+)の神経細胞への分化効率が低下していた。患者の点変異を修正すると、代謝特性と神経細胞の発火率が改善され、分化の表現型も元に戻り、アストロサイトの増加も抑えられた。2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンを投与したところ、中脳オルガノイドにおける患者特定の神経細胞のドーパミン神経分化が改善されると同時に、神経細胞のオートファジーおよびマイトファジー能力が増加し、マウスモデルにおける神経毒性が改善された。
[1] Javier Jarazo, Kyriaki Barmpa, Jennifer Modamio, Cláudia Saraiva, Sònia Sabaté-Soler, Isabel Rosety, Anne Griesbeck et al. (2021) Parkinson’s Disease Phenotypes in Patient Neuronal Cultures and Brain Organoids Improved by 2-Hydroxypropyl-β-Cyclodextrin Treatment. Movement Disorders https://doi.org/10.1002/mds.28810
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