シクロデキストリンによる抗ウイルス剤・ワクチンの開発

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医薬品原薬
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Bragaらのレビューでは、ウイルスに対するワクチンや抗ウイルス治療薬におけるシクロデキストリン(CD)の様々な役割について述べられている[1]。最初のセクションでは,最も一般的に研究されているCDの応用例である,抗ウイルス剤の可溶化と安定化について説明している。第2部では、抗ウイルスワクチンの開発と安定化におけるCDの役割について説明し、アジュバントや凍結保存剤として採用されている。さらに、CDをベースにしたポリマーは、mRNAのデリバリーシステムとして現在開発中である。最後に、ウイルス感染症の治療のための医薬品有効成分としてのCDの使用が検討されている。この新しい応用分野は、まだ第一歩を踏み出したばかりである。とはいえ、CDを他の病態の治療薬として使用した場合の有望な結果は心強い。

最近承認されたJanssen社のワクチン(ad26.cov2.s)には、ウイルス粒子の表面への寒さによるダメージを避けるために、凍結保存剤としてHPβCDが配合されていることが分かっている。

ad26.cov2.sワクチンにおけるアデノウイルス粒子(オレンジ)とHPβCD分子(青)の相互作用を模式的に表したもの。シクロデキストリン分子は大量に使用されており、ワクチン調製の凍結乾燥工程でウイルスの表面を安定化させる凍結保存剤として機能すると主張している。

HPβCDは、すでに規制当局から承認されており、安全性の面でも優れていることから、ヒト用ワクチンのアジュバントとして最適な選択肢といえる。さらに、HPβCDは、リンパ球、特にT-ヘルパー2型(Th2)細胞の増殖を誘導することができる。これらの細胞は、CD4+細胞としても知られており、ワクチンの免疫効果の重要な部分を担っており、より長い免疫反応の維持に貢献できる。HPβCDは、現在最も一般的に使用されているアジュバントであるアルミニウム塩よりも優位性がある。アルミニウムと異なり、HPβCDは免疫グロブリンE(IgE)の産生をほとんど誘発しないため、ワクチンのアレルギーリスクを低減することができる。

[1] Braga, S.S.; Barbosa, J.S.; Santos, N.E.; El-Saleh, F.; Paz, F.A.A. Cyclodextrins in Antiviral Therapeutics and Vaccines. Pharmaceutics 2021, 13, 409. https://doi.org/10.3390/pharmaceutics13030409

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