青木教授は、このユニークな成果について、私たちのブログに短い要約を記載した。
この研究では、シクロデキストリン(CD)を機械的な力の変換器として用いた。メカノクロミック機能、すなわち機械的刺激に反応して色が変化する機能は、材料の応力や損傷を可視化するのに利用できる[1]。メカノフォア(機械的刺激に応答して化学構造を変化させる構成要素)をポリマーマトリックス、特にポリマー中鎖に導入することは、材料にメカノクロミズムを付与するための有効な方法である。
メカノフォア含有ポリマーは作製が容易であるという利点があるが、ポリマーはしばしば不可避な分子量分布のために、比較的定義された構造を持たないと考えられていることにもここで注意する必要がある。そこで、ここでは、構造的によく定義された分子であるCDに着目し、作製が容易な系を用いて、構造とメカノレゾナンス性の関係を検討する。
その結果、CDを用いたメカノフォアは、その高いメカノレスポンス性と低分子量により、特定の材料体積あたり高い活性状態を容易に作り出すことができ、これは、色の変化や低分子放出などの有用な反応を示すメカノフォア材料の分子設計に特に重要である。
[1] Sugita, Y., Aoki, D., Otsuka, H. (2022) Mechanochromic cyclodextrins. Chem. Commun. DOI: 10.1039/d2cc00363e
コメント