この包括的なレビューでは、薬用レンズとしてのコンタクトレンズの数多くの欠点と、同じ数多くのアプローチを克服するための戦略が探求されている。世界中の研究は、シクロデキストリンベースやビタミンEベースの改良コンタクトレンズから、薬剤溶出性コンタクトレンズの効果を高めるためのバイオインスパイアード・アプローチに至るまで、長い道のりを歩んできた。バイオインスパイアード・アプローチでは、生体適合性を高めるためのバイオインスパイアード・ポリマーシステム、分子インプリンティングによる特定の分子認識技術、または刺激応答システムを利用して、薬剤溶出性コンタクトレンズの生体適合性、薬剤装填、および薬剤送達の効果を向上させる。さらに、ナノウェハーやマイクロニードル・コンタクトレンズ、眼球パッチなどの最近のイノベーションは、眼球治療において非常に大きな注目を集めている。また、コンタクトレンズのもう一つの潜在的な用途は、様々な眼疾患のバイオセンシングと診断に適用されるスマートレンズである。本レビューでは、次世代コンタクトレンズの広範な治療用途と様々な製造アプローチについて、その臨床的意味合い、新規材料や多様な形態のレンズを探索するために研究者が行った努力、薬物放出のメカニズム、臨床試験、毒性や安全性の懸念などを含めて要約し、議論している。
中でも、シクロデキストリンを用いた薬剤溶出性コンタクトレンズについてもレビューしている。CDを用いた様々な戦略は、アクリル/ビニルCD誘導体の共重合、CDのグラフト化、またはコンタクトレンズの調製中のCDの直接架橋である。 浸漬法やインプリント分子法では薬物の充填量が少ないが、ポリ-(CD)で架橋することで克服できることが観察された。CDの助けを借りて、ジクロフェナクの装填量が1300%向上し、薬物親和性が15倍になったハイドロゲルが調製された。また、CDはタンパク質の吸着を抑制する。
Pinal Chaudhari, Vivek M. Ghate, Shaila A. Lewis (2021) Next-generation contact lenses: Towards bioresponsive drug delivery and smart technologies in ocular therapeutics. European Journal of Pharmaceutics and Biopharmaceutics 161, 80-99. https://doi.org/10.1016/j.ejpb.2021.02.007.
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