生物農薬として有望なクルクミン誘導体である難水溶性分子テトラヒドロクルクミン(THC)の溶解性を、異なるCDとの包接複合体の形成によって向上させた。ランダムにメチル化されたβ-シクロデキストリン(CRYSMEB, Roquette)が最も良い結果をもたらした。示差走査熱量測定、1Hおよび2D核磁気共鳴(NMR)により、 CRYSMEB へのTHCの封入が証明された。特に、回転フレームオーバーハウザー効果スペクトルNMRは、THCの芳香族プロトンとCDキャビティ内のプロトンとの特異的な相互作用を示した。THCとMeβCDの複合体形成をHiguchi and Connor法を用いて調べたところ、会合定数は591M-1であった。THCを担持したCRYSMEBは,標的菌であるFusarium graminearumの生育阻害を示さなかった。しかし、クエン酸で架橋したTHC担持CRYSMEBポリマーは、真菌の成長を25%阻害した。このことから、無溶媒、水性、バイオベースの殺菌剤製剤の材料として有望である。
Fusarium graminearumは、トウモロコシ、小麦、大麦などの穀類に感染し、人や動物の健康に影響を与えるマイコトキシンを生成する可能性があるため、最大で50%の収穫量の減少につながる。
Anne Loron, Christian Gardrat, Nicolas Tabary, Bernard Martel, Véronique Coma (2021) Tetrahydrocurcumin encapsulation in cyclodextrins for water solubility improvement: synthesis, characterization and antifungal activity as a new biofungicide. Carbohydrate Polymer Technologies and Applications, 100113, https://doi.org/10.1016/j.carpta.2021.100113.
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