コロナウイルスに対する戦略としての脂質ラフトの利用

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脂質ラフトは、ガングリオシドを含むスフィンゴ脂質やコレステロールを含む膜の機能的なマイクロドメインであり、脂質分子が高度に秩序立って密集していることが特徴である。いくつかの研究により、コロナウイルスを含むさまざまなウイルスのライフサイクルに脂質ラフトが関与していることが明らかになった。その中でも最近、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス-2(SARS-CoV-2)が登場した。SARS-CoV-2の主な受容体は、アンジオテンシン変換酵素-2(ACE-2)であるが、宿主細胞表面のガングリオシドに結合したシアル酸にも結合する。SARS-CoV-2のスパイクタンパク質のN末端部分に、新しいタイプのガングリオシド結合ドメインが存在することが明らかになった。脂質ラフトは、ACE-2受容体を宿主細胞膜上に集中させ、ウイルスエンベロープ上のスパイクタンパク質と相互作用させるのに適したプラットフォームである。この総説では、コロナウイルスに対する戦略として、脂質ラフト成分を選択的に標的とすることに焦点を当てている。実際、スタチンやメチル-β-シクロデキストリン(MβCD)などのコレステロール結合剤は、コレステロールに影響を与え、脂質ラフトの崩壊を引き起こし、その結果、コロナウイルスの接着や結合を阻害することができる。さらに、これらの化合物は、ウイルス感染の鍵となる下流の分子をブロックし、炎症性分子(腫瘍壊死因子α(TNF-α)、インターロイキン(IL)-6)のレベルを低下させ、ウイルスの複製とクリアランスの両方に関与するオートファジープロセスに影響を与える。さらに、シクロデキストリンは、さまざまな薬物との複合体を形成してホスト・ゲスト包接体を作ることができ、バイオアベイラビリティーや溶解性を向上させることで、ロピナビルやレムデシビルなどの抗ウイルス化合物の医薬品賦形剤として利用できる可能性がある。結論として、コロナウイルスが宿主細胞に侵入する過程において、脂質ラフトに影響を与える薬剤が役割を果たしていることは、コロナウイルスに対する薬理学的アプローチに新たな課題をもたらす可能性を示唆するものである。

Sorice et al. Targeting Lipid Rafts as a Strategy Against Coronavirus. Front. Cell Dev. Biol., 04 February 2021 | https://doi.org/10.3389/fcell.2020.618296

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