hMO模倣物質ジフコシル-β-シクロデキストリンの消化、発酵および病原菌の付着防止特性

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母乳は乳児にとって最良の食品であると広く認められているが、それは単に栄養面での特徴だけではない。人間の乳には、数多くの生理活性分子が含まれており、その中にはヒトミルクオリゴ糖(hMO)も含まれている。特に、フコシル化したhMOは、病原菌の腸への付着を防ぎ、感染を予防する効果があると注目されている。hMOを研究し、最終的に(医療用)乳児用ミルクに応用するために十分な量を生産することは一般的に困難であるため、hMOの構造にヒントを得た新規化合物(いわゆる「ミミック」)は、生産してその生物学的効果を評価する上で興味深い化合物である。

本研究では,hMOの分子構造にヒントを得た新規化合物di-fucosyl-β-cyclodextrin (DFβCD)を合成し,その消化性,発酵性,抗接着性を調べた。その結果,DFβCDはα-アミラーゼでは消化されず,生後9ヶ月の乳児に接種した微生物の酵素による発酵にも耐性があることがわかった。また,DFβCDは,腸内毒素型大腸菌(ETEC)のCaco-2細胞への接着を阻害することがわかった。特に,DFβCDをETECとプレインキュベートしてからCaco-2細胞に添加した場合,DFβCDがETECの接着を阻害することがわかった。これは、DFβCDがデコイ効果(細菌の細胞表面にある特定の受容体を飽和させる)によって機能していることを示唆している。今回の結果を受けて、他のフコシル化hMOやその模倣体を作製して生物学的に評価することで、フコシル化糖鎖の抗接着力を包括的に把握することができると期待される。

Stella A. Verkhnyatskaya, Chunli Kong, Cynthia E. Klostermann, Henk A. Schols, Paul de Vos and Marthe T. C. Walvoort (2021) Digestion, fermentation, and pathogen anti-adhesive properties of the hMO-mimic di-fucosyl-β-cyclodextrin. Food Funct.12, 5018-5026. DOI: 10.1039/D1FO00830G

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